音楽への情熱がつなぐ大合奏!「ブラス・ジャンボリー in KYOTO」
管楽器・打楽器経験者ならレベル不問、“みんなで楽しむ大合奏”と銘打ち、これまで全国各地で開催されてきた「ブラス・ジャンボリー」。今回は、2024年秋にスタートした「Music Fusion in Kyoto音楽祭」を彩るイベントの一つとして開催されました。
「Music passion again! ~音楽への情熱をもう一度~」というテーマに込められた思いとは? 本番を一週間後に控えるなか、企画・運営に携わるヤマハの濱田歩美さんと、JEUGIAの工藤祥人さんにお話を伺いました。
「いつかまた演奏したい」を後押し
―「ブラス・ジャンボリー in 京都」の特徴を教えてください。
濱田さん:目指したのは、かつて部活動や趣味で演奏していたけれど、仕事や育児などに追われて楽器から離れている人、さまざまな理由で演奏を続けられる環境にない人に、演奏する喜びをもう一度感じてもらうこと。開催に先駆けて、そうした人たちが「楽器を再開したいけれどできない」理由を深掘りした結果、「場所がない」「楽器が手元にない」「長年使っていなくてリペアが必要」「レッスンに通いたいが時間がない、費用がかかる」といった要因が挙げられました。これら課題を解消するため、京都府のバックアップを得て、無料で参加できる事前練習会を実施したんです。
―これまでの「ブラス・ジャンボリー」にはなかった試みだそうですね。具体的にどのような内容だったのでしょうか。
工藤さん:府内4か所のJEUGIA音楽教室での対面レッスン、またはリモートレッスンが受けられるというもので、応募対象を京都府内在住または府内に通勤・通学している人に絞り込みことで実現しました。実施回数は合同練習を含む5回。レッスンはJEUGIA音楽教室の講師陣が担当し、楽器のリペア(修理や補修)もJEUGIAを通して行いました。併せて、舞鶴・京丹波・城陽の3会場では楽器体験会も実施。「昔楽器をしていた」という人には参加を呼びかけるといった告知活動も展開しました。
―「いつかまた演奏したい」と思っていた人たちにとって、一歩を踏み出すきっかけになったのですね。
濱田さん:そうですね。 100人の定員に対して約300人もの応募があったのも、事前練習会とセットで提案できたからだと思います。本番一週間前の合同練習会には、参加者のうち約半数の方が集まりました。合同練習会を組み込んだのは、練習の時間も、合奏に参加する醍醐味の一つとして楽しんでもらいたかったからなんですよ。みんなで一つの曲をつくり上げる喜びは、一人では決して味わえませんから。
総勢200名を超える大合奏
―では、「ブラス・ジャンボリー in 京都」の見どころを教えてください。
濱田さん:やはり指揮者の米米CLUB、BIG HORNS BEEメンバーの織田浩司さん、ゲストのトランペット奏者の上田じんさんですね。「ブラス・ジャンボリー」は、本番当日初めて顔を合わせる人たちが一緒に演奏するので、一般的なブラスバンドの指揮とは違って少し特殊。織田さんは、これまでも何度か「ブラス・ジャンボリー」で指揮者をしていただいていますが、サクソフォーン奏者・指揮者としての実力はもちろん、楽しませながら参加者の力を引き出し、まとめ上げる力、エンターテイナーの資質を兼ね備えた魅力的な方です。
また、上田じんさんは京都出身で、宇治が舞台の人気アニメ『響け!ユーフォニアム』のキャラクター、高坂麗奈のトランペット演奏を担当された方。私もこのアニメの大ファンで、「京都で開催するならこの人しかいない!」と思っていたんです。
―どのような方が参加するのでしょうか?
濱田さん:参加者は157名(※事前練習日の時点)。8歳から77歳まで、幅広い年齢層の方が集まりました。当日参加してくれる桃山高校 吹奏楽部員の皆さんを含めると総勢200名以上もの大規模編成になります。親子やきょうだい、ご夫婦で参加される方もいらっしゃって。さまざまな思いを胸に参加されています。
失敗を恐れず、心から音楽を楽しんで
―では最後に、一週間後の本番に向けた思いをお聞かせください。
工藤さん:事前練習会に参加された方からは、「もう一度、楽器を始めたくなった」「久しぶりに演奏する喜びがよみがえった」などのお声をいただき、音楽教室を運営する立場としてうれしい限りです。これを機に、なんらかの形で楽器を再開されるとなれば喜ばしいですが、まずは本番。これほどの大規模編成で演奏できる機会はめったにありません。練習会に関わった講師たちもワクワクしているほど。合奏を心から楽しみ、「参加してよかった」と思っていただきたいですね。
濱田さん:日本は、中学校や高校での部活動を中心に吹奏楽が盛んで、世界でも有数の吹奏楽大国です。一方で、コンクールや大会を目的とした競争文化が定着していて、練習はとても厳しい。私自身、腹筋が割れるほどの超体育会系な吹奏楽部の部員でした(笑)。参加者のなかでも、吹奏楽部だった人からは「失敗して迷惑をかけたくない」「ブランクがあるからうまく演奏できるか心配」などの声がちらほら。でも「ブラス・ジャンボリー」では、楽しむことが何より大事。楽しんだ者勝ちなんです。失敗してもいいし、吹けないところは休んでもいい。恐れることなく、思い切り楽しんでいただきです。